こんにちは、海辺スタッフのwakaです。

今日の「海辺の日曜市」には、団体のお客様が来てくださる予定になっていました。
そのうちの一組は、JICAの研修の一環として、フィリピンからお越しになった研修生の皆さんです。
当初は、「海辺の日曜市」を見学した後、愛媛大学地域創生研究センターの佐藤亮子先生のお話を聞くご予定だったのですが、残念ながらマーケットは中止に。講座のみ、ふるさと総合センターで行うこととなったので、私とシンさんも聴講させていただきました。
 
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佐藤亮子さんは、日本やアメリカ、ヨーロッパなど、世界のファーマーズマーケットを研究されていて、「海辺の日曜市」のアドバイザーにもなっていただいています。
 
今回のテーマは、「地域におけるファーマーズマーケットの役割」。
日本語を通訳さんが英語に訳しながら、時には佐藤さんが英語で説明しながら進められました。
 
日本は「農産物直売所」が盛んで、「道の駅」には必須の施設であること。その「道の駅」が「MICHINOEKI」としてアフリカやアジアにも輸出されていることが紹介されました。
「道の駅」は、日本オリジナルのものだそうで、フィリピンの皆さんも興味深そうに聞いていました。
 
また、「直売所」ではなく、建物のないスタイルの「市(ICHI=ファーマーズマーケット、マルシェ)」が、今日本でひそかなブームになっていることが紹介され、その例として、高知オーガニックマーケット(高知市)、おかざきファーマーズマーケット(愛知県岡崎市)、海辺の日曜市(ここ)が、それぞれの特徴と合わせて紹介されました。
 
「おかざきファーマーズマーケット」の写真で紹介されていた「卵やさん」の、「生卵の詰め放題」の話に、研修生がどよめいていました(笑) 単に詰め放題が珍しかったのか、「生卵」をぎゅうぎゅうに積めたら、だいぶ割れるんじゃないかと心配したのかわかりませんが。
 
ちなみに、この岡崎市のマーケットは、商工会の主催だそうです。商工会の副会長が、「グローバル化が進むと、地域経済が疲弊する。地域内でモノやお金が循環しないと町は元気にならない。ファーマーズマーケットがそのきっかけになるのではないか」と考え、立ち上げたのだそう。
 
海辺の日曜市も、「風土に根ざした地域産品を創造することにより、エコロジカルで堅実な地域経済を支援し、地域ににぎわいを生む」というミッションを掲げています。地域の中で経済活動を循環させ、地域を活性化しようという考えは、共通していると思いました。
 
 
それから、個々の生産者さんの中から、海辺の日曜市にも出店されていた「茶々香」さんと「明神刃物製作所」さんが紹介されました。
あまって捨てられていた野菜をもったいないと思い、ジャムを作り始めた「茶々香」の坂本香さんは、家族が経営する茶畑のお茶も製品化。今では、実家の茶畑のことだけでなく、集落の農業の今後についても考えているそう。
また、「明神刃物製作所」の明神さんは、作った刃物のほとんどは大阪府堺市へ送っていたが、直接消費者の手に届け、消費者の声を聞く場が大切と、マーケットに出店している(数年前まで海辺の日曜市にも出てくれていました)ということでした。
 
生産者と地域、生産者と消費者が、直接つながれる場所が「市」なのかなと感じます。


最後のディスカッションでは、フィリピンのマーケット事情を聞くことができました。
フィリピンでも農業は盛んで、各地で様々な農作物が作られているが、島国なので輸送コストがめちゃくちゃかかるそうです(国内の輸送でも、海外からの輸入と同じくらい高い)。直売のスタイルも政府が考えてはいるがまだ数は少なく、ほとんどの農作物は中間業者に安く売っているため、農家は貧しいとのこと。
ローカルで新鮮な野菜を販売するマーケットは、首都マニラのビジネス街など、お金持ちが多い地域にはあるが、高級なため、一般の市民にはまだなじみがないようです。
 
それに対して、佐藤さんから「アメリカでは、低所得者に新鮮でローカルな野菜を届けるために、政府がファーマーズマーケットの設立を支援している」と情報提供がありました。
 
フィリピンの研修生のほとんどが、国家公務員の方だったので、今回の話は、マーケットの話だけにとどまらず、農業や食や健康など、いろんな面でヒントになったのではないでしょうか。
 
 
講座の冒頭に、私としんさんは「海辺の日曜市の関係者です」と紹介されていたので、私にもマーケットの運営に関する質問をいただきました。もちろん日本語で答えました(笑) 少しでもご参考になれば幸いです。
 
最後に、研修生から、「海辺の日曜市(Seaside Sunday Market)を見学したかった。とっても楽しみにしてたのに」とのお言葉をいただきました。この台風がなければ、もっといい交流ができ、いろんな気付きを持って帰っていただけたのではないかと思うと、残念でなりません。
 
 
また、機会があれば、海外の方にも日本のローカルな「市」の一つとして、「海辺の日曜市」を知っていただけたらなと思います。
 
 
以上、本日のマーケット講座でした(笑)
(佐藤さん、捕捉などありましたら、どうぞよろしくお願いします。)
 
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